ドイツ給与手取り計算機(Brutto-Netto-Rechner)
ドイツの契約書に書かれた額面(Brutto)と口座に届く金額のあいだには、4つの社会保険料と所得税、場合によっては教会税と連帯付加税が挟まります。年収・税等級・教会税・子供の数・追加保険料率から、2026年基準の月手取り額を計算します。
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入力
税金・社会保険料を差し引く前の年間総支給額です。月給しかわからない場合は月給×12を入力してください。
I/IV等級(源泉徴収の計算式が同一)とIII等級のみ対応しています。II・V・VI等級については下記「この計算機の限界」をご覧ください。
バイエルン州・バーデン=ヴュルテンベルク州は8%、他の州は9%です。課税対象の教会に属していない場合は「なし」を選んでください。
介護保険の無子加算・多子減額にのみ使います。子供0人は0.6ポイントの加算、2人目から1人あたり0.25ポイントの減額(最大4人分まで算入)です。
加入する法定健康保険組合ごとに追加保険料率が異なります。2026年の平均は2.9%です。ご自身の組合の率がわかる場合はそちらを入力してください。
結果
- 月の手取り額
- 2,914€
- 月の額面給与
- 4,583€
- 控除合計
- 1,669€
- 年金保険料
- 426€
- 健康保険料
- 401€
- 介護保険料
- 110€
- 失業保険料
- 60€
- 所得税(概算)
- 672€
- 連帯付加税
- 0€
- 教会税
- 0€
- 結果
- 所得税は連邦財務省(BMF)の公式源泉徴収プログラムそのものではなく、公開されている§32a EStG税率表とVorsorgepauschale(社会保険料控除概算額)の要素を組み合わせた近似値です。実際の給与明細とは異なる場合があります。
zvE = 55,000 − 1,230 − 36 − Vorsorgepauschale 11,083 = 42,651 / Jahreslohnsteuer 8,060 → 8,060 / 12 = 672
内訳
各項目が全体に占める割合です。
- 月の手取り額
- 2,91463.6%
- 社会保険料合計
- 99721.8%
- 税金(所得税・連帯付加税・教会税)
- 67214.7%
計算の仕組み
計算式手取り額 = 月の額面給与 − (年金保険 + 健康保険 + 介護保険 + 失業保険 + 所得税 + 連帯付加税 + 教会税)。
ドイツでは、雇用契約書に記載された額面給与(Brutto)がそのまま銀行口座に振り込まれることはありません。毎月の給与明細から4つの法定社会保険料と源泉所得税が天引きされ、所得税が累進課税であるため、額面と手取りの差は収入が増えるほど大きくなります。この計算機は、2026年8月時点でドイツ年金保険機構(Deutsche Rentenversicherung)・連邦保健省(BMG)・連邦法務省の法令ポータルを確認した料率で、その差を試算します。
4つの保険料の内訳
4つの保険はそれぞれ仕組みが異なります。年金保険は額面給与の9.3%を天引きしますが、上限があります(年101,400ユーロ、月8,450ユーロ)。この上限は2025年、7段階の統合プロセスを経て旧西独・旧東独の区分がついに解消され、初めて全国統一の値になりました。健康保険は14.6%の半分に加え、加入する組合の追加保険料率(Zusatzbeitrag、2026年平均2.9%、組合により約2.2%〜4.4%の幅がある)の半分を天引きします。ご自身の組合の率がわかる場合はそちらを入力してください。介護保険は子供がいる人で1.8%、子供がいない人は0.6ポイントの加算、2人目から5人目までの子供1人につき0.25ポイントの減額(最大1.0ポイント)が適用されます。失業保険は1.3%で、年金保険と同じ上限を共有します。
所得税の計算方法
所得税の計算が最も正確に再現しにくい部分です。連邦財務省は毎年、完全な源泉徴収アルゴリズム(Programmablaufplan)を公開していますが、これは税等級ごとに分岐する数百行の疑似コードであり、この計算機は代わりに一次資料で確認できた部分だけを組み合わせて構築しました。すなわち§32a EStGの累進税率式(5段階、課税所得に適用)、2026年の基礎控除(Grundfreibetrag)12,348ユーロ、そして既に納めた社会保険料を税率適用前の課税標準から差し引く、§39b EStGで定められたVorsorgepauschale(社会保険料控除概算額)です。この控除の3つの部分はいずれも労使合算の料率ではなく、本人の負担分を使います。年金部分は保険料率の50%(9.3%、実際の負担額と同じ)、健康保険部分は軽減料率(ermäßigter Beitragssatz、14.0%。実際の保険料計算に使う14.6%とは異なる)の半分に追加保険料率の半分を足したもの、介護保険部分は無子加算・多子減額を反映した実際の本人負担分とそのまま同じです。ここで近似になっているのはこの計算式そのものではなく(条文からそのまま導いています)、この計算機が再現していないBMFの完全な源泉徴収プログラムに含まれる、より細かい端数処理や例外規定です。
税等級と連帯付加税
対応する税等級は2つだけです。I等級とIV等級は源泉徴収の計算式が同一(単純な基礎控除のみ、分割課税なし)なので1つの選択肢にまとめました。III等級はドイツの分割課税(Splittingverfahren)方式を使います。課税所得を半分にして税率表を適用し、結果を2倍に戻す方式で、実質的に基礎控除を24,696ユーロに倍増させる効果があり、配偶者(V等級)に収入がないと仮定するため配偶者の収入を別途入力する必要はありません。II等級(ひとり親、追加で年4,260ユーロの控除)、V等級、VI等級は大きく異なる計算式を使います。VとVIは所得を1.25倍してから税率表とは別の換算を行いますが、今回の調査では無料の一次資料でその正確な手順を確認できなかったため、対象外としました。
所得税に加えて連帯付加税(Solidaritätszuschlag)が5.5%上乗せされますが、I/IV等級では年間所得税20,350ユーロ、III等級では40,700ユーロという免税限度額を超えた場合のみです。2026年の基準では、これにより納税者の約9割が連帯付加税を全く払っていません。免税限度額をわずかに超えた部分には緩和区間(Milderungszone)があり、超過額の11.9%を上限とすることで急激な負担増を避けています。教会税(選択した場合)は所得税の8%(バイエルン州・バーデン=ヴュルテンベルク州)または9%(他の14州)の定率です。両方ともここでは計算した所得税額に直接適用しています。実際の制度では子供がいる世帯についてはKinderfreibetrag(子供控除)による別の調整(§51a EStG)でこの課税標準がわずかに下がりますが、この計算機はその調整を反映していないため、子供がいる世帯では実際の教会税・連帯付加税がここでの表示よりわずかに低くなる可能性があります。
この計算機の限界
そのほかの限界も述べておきます。この計算機は法定健康保険(gesetzlich versichert)加入者のみを対象とします。民間健康保険(PKV)加入者はVorsorgepauschaleの計算方法自体が異なり、2026年から変更された規定を今回完全には確認できませんでした。ザクセン州の介護保険の労使負担特例(参会祈祷日という他州にはない祝日を維持する代わりに、労働者2.3%・使用者1.3%という特別な分担)は反映しておらず、全国どこでも標準の1.8%/1.8%分担で計算します。この結果は月次源泉徴収額の目安であり保証ではありません。正確な金額は必ず実際の給与明細やBMFの公式オンライン計算機と照らし合わせてください。
日本の制度と違う点
日本にない制度でいちばん驚かれるのが教会税です。住民登録(Anmeldung)のときに申告した宗教が課税の根拠になり、いったん対象になると所得税額の8%(バイエルン州・バーデン=ヴュルテンベルク州)または9%(他の14州)が給与から自動的に引かれます。寄付ではなく税なので、やめるには役所で正式な脱退の手続きが必要で、教会に行かなくなるだけでは止まりません。
税等級の考え方も日本の感覚とは違います。日本の配偶者控除は年末調整で効きますが、ドイツでは夫婦がIII/Vを選ぶかIV/IVのままにするかで、毎月の手取りの配分そのものが変わります。世帯全体の年税額は変わらず、変わるのは誰がいつ払うかだけです。III/Vを選ぶと確定申告が義務になり、差額は申告後に戻ってきます。
年末調整に相当する手続きを会社が代行してくれるわけでもありません。ドイツの源泉徴収は「いまの条件が12か月続く」前提で毎月計算されるため、通勤費や研修費などの必要経費が概算控除1,230ユーロを超える人は、自分で所得税申告をして初めて差額が戻ります。この計算機が概算控除しか反映していないのも同じ理由です。
年金協定と明細の確認
年金については、日本年金機構の一覧でドイツは保険期間の通算まで含む協定国に分類されています。駐在中の二重加入を避けたうえで、加入期間を将来の受給資格の判断に生かせる余地があるという意味で、二重加入の防止のみを定めた英国・韓国との協定とは扱いが異なります。
実際の給与明細とこの試算がずれるときは、計算式より入力条件を先に疑ってください。企業年金への給与転換(Entgeltumwandlung)があるか、加入している健康保険組合の追加保険料率が初期値2.9%と違うか、税務データに個別の控除額が登録されていないか。この3つでたいてい説明がつきます。
| 額面年収(€) | 月の手取り額(€) | 月間控除合計(€) | 手取り率(%) |
|---|---|---|---|
| 30,000 | 1,768 | 732 | 70.7 |
| 40,000 | 2,241 | 1,092 | 67.2 |
| 55,000 | 2,914 | 1,669 | 63.6 |
| 70,000 | 3,548 | 2,285 | 60.8 |
| 100,000 | 4,836 | 3,497 | 58.0 |
| 150,000 | 7,070 | 5,430 | 56.6 |
よくある質問
- なぜ手取りは額面よりこんなに少ないのですか?
- 毎月、4つの法定社会保険料(年金・健康・介護・失業保険)と源泉所得税が天引きされるためです。ドイツの所得税は累進課税のため、給与が高くなるほど控除の割合も大きくなります。
- この結果はBMFの公式Lohnsteuerrechnerと完全に一致しますか?
- 必ずしも一致しません。財務省の完全な源泉徴収プログラムは税等級ごとに分岐しますが、今回の調査では無料の一次資料からその全体を確認できませんでした。この計算機は代わりに公開されている§32a EStG税率表とVorsorgepauschaleの要素から計算を再構築しています。公式の計算機や実際の給与明細と多少異なる場合があります。
- なぜI/IV等級とIII等級しか選べないのですか?
- I等級とIV等級は源泉徴収の計算式が同一なので1つの選択肢にまとめています。II等級はひとり親向けの固定控除が追加され、V等級とVI等級は大きく異なる換算方式を使いますが、今回の調査では無料の一次資料でその手順を確認できなかったため、この3つは現時点で対象外です。
- 年金保険料は給与が上がるほど際限なく増えますか?
- いいえ。2026年の年金保険・失業保険には月8,450ユーロ(年101,400ユーロ)という上限があります。2025年から全国で統一された値です。月収がこれを超えると、それ以上いくら稼いでもこの2つの保険料は変わりません。
- 自分の健康保険組合のZusatzbeitragがわからない場合はどうすればよいですか?
- 初期値の2.9%(連邦保健省が定めた2026年の全法定健康保険組合の平均)のままで構いません。組合ごとに約2.2%〜4.4%の幅があるため、正確な金額を知りたい場合はご自身の組合の率をご確認ください。
- 教会税は途中でやめられますか?
- 住民登録に記載された宗教に基づいて課されるため、教会に通わなくなっただけでは止まりません。州によって戸籍役場(Standesamt)または区裁判所(Amtsgericht)で正式な脱退を届け出て、はじめて課税が終わります。それまでは所得税額の8%(バイエルン州・バーデン=ヴュルテンベルク州)または9%(他の14州)が給与から差し引かれます。この計算機では該当の入力欄でオフにできます。
- ドイツで働いた期間は日本の年金の受給資格期間に通算できますか?
- 日本年金機構の一覧では、ドイツは保険期間の通算まで含む協定国に分類されています。二重加入の防止だけを定めた英国・韓国との協定とは異なり、加入期間を将来の受給資格の判断に生かせる余地があります。具体的な扱いは滞在形態や加入制度によって変わるため、赴任前に確認しておくのが確実です。
この計算に使用した数値
この計算機が現在適用している時点依存の数値です。各値について出典と最終確認日を明記しています。
一次 = 発表機関の原文 · 導出 = 公式資料2件から算出 · 二次 = それを引用した資料
年金保険(Rentenversicherung)の料率
全体 18.6% / 被用者 9.3%
2026-08-12確認 · 次回2027-01-15
年金・失業保険の標準報酬上限(BBG)
月 8,450ユーロ / 年 101,400ユーロ
2026-08-12確認 · 次回2027-01-15
失業保険(Arbeitslosenversicherung)の料率
全体 2.6% / 被用者 1.3%
2026-08-12確認 · 次回2027-01-15
健康保険の一般料率(allgemeiner Beitragssatz)
14.6%(労使各 7.3%)
2026-08-12確認 · 次回2027-01-15
健康保険・介護保険の標準報酬上限
月 5,812.50ユーロ / 年 69,750ユーロ
2026-08-12確認 · 次回2027-01-15
平均追加保険料率(durchschnittlicher Zusatzbeitragssatz)
2.9%(保険組合ごとの実際の幅は 2.18~4.39%)
2026-08-12確認 · 次回2026-12-01
介護保険(Pflegeversicherung)の料率・割増・割引
基本 3.6% / 子のいない被保険者への割増 0.6ポイント / 子1人あたり 0.25ポイント割引(最大1.0ポイント)
2026-08-12確認 · 次回2027-01-15
§32a EStG の税率表(基礎控除を含む5区分)
基礎控除 12,348ユーロ、区分境界 17,799 / 69,878 / 277,825ユーロ
2026-08-12確認 · 次回2027-01-15
給与所得の定額控除(Arbeitnehmer-Pauschbetrag)
1,230ユーロ
2026-08-12確認 · 次回2027-01-15
Vorsorgepauschale の健康保険部分に用いる軽減料率(ermäßigter Beitragssatz)
14.0% (§ 243 SGB V)
2026-08-12確認 · 次回2027-01-15
連帯付加税(Solidaritätszuschlag)の税率・免税限度
5.5%、緩和区間 11.9%、免税限度 単身 20,350ユーロ / 既婚 40,700ユーロ
2026-08-12確認 · 次回2027-01-15
参考文献
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最終更新日: 2026-08-22